TEN STEPSプロジェクトとは?

TEN テン STEPSステップスプロジェクトとは?

このプロジェクトの目的

お母さんが、母乳について大変な苦労をしたりつらい思いをしたりすることがある背景に、WHO/ユニセフのTen Stepsに沿ったケアの有無が影響していることは、あまり知られていません。

WHOとユニセフは、どんなケアを受けると母乳で育てる助けになるかということを、Ten Stepsにまとめて出産施設に対して推奨しています。けれども、現在の日本では、このTen Stepsに沿ったケアを受けられる施設は、まだ限られています。

このプロジェクトの目的は、Ten Stepsへの賛同を一つのウェブページに集めることによって、Ten Stepsの周知へとつなげ、そして、どこで出産してもTen Stepsによるケアが受けられる社会実現への力とすることです。

Ten Steps を伝える:世界母乳育児週間キャンペーン

TEN テン STEPSステップスプロジェクト実行委員会

「Ten Stepsをもっと周知したい」という目的のためにつながったゆるい集まりです。それぞれの所属団体などの方針等にかかわらず、この一つのことについて賛同して関わる仲間をいつでも募集しています。

発起人: 平林円 上原桂子 森あさよ 本田義信 

プロジェクト活動方針

お問い合わせはこちらから

発起人からのメッセージ

Madoka Hirabayashi
Ten Stepsは赤ちゃんがお母さんの母乳で育つのに最適な環境を提供するために、WHO(世界保健機関)とUNICEF(国連児童基金)が定めた勧告です。
 
母乳で赤ちゃんを育てることは、哺乳類であるヒトにとって、ごく自然なことです。環境さえ整えば、無理をせずに70~80%のお母さんは母乳だけで赤ちゃんを育てることができます。できるだけ多くの母と子が母乳育児を楽しめるように、お産を扱う周産期施設ではTen Stepsにのっとった周産期ケアを提供します。決してお母さんに母乳育児を押しつけることなく、乳児用ミルクの必要な時にはミルクも使います。
 
誕生して間もない赤ちゃんには一見元気そうに見えても、低血糖や突然の呼吸停止などがおこるリスクがわずかですがあります。周産期施設ではTen Stepsにのっとった周産期ケアと同時に赤ちゃんとお母さんの健康管理も万全に行います。
 
赤ちゃんが生まれたからといって、すぐに母乳が勝手にどんどん湧き出てくるわけではありません。赤ちゃんが上手におっぱいを吸ってくれて、数日してようやく母乳の分泌量が増えてきます。母乳分泌量を増やすのは赤ちゃんのお仕事です。お母さんやお父さんをその赤ちゃんを守り育ててくれる”お母さんやお父さん”へと変えて行くこともまた赤ちゃんのお仕事です。この大切な時期に乳児用ミルクを不必要に赤ちゃんに飲ませると、赤ちゃんのおっぱいを吸う努力を邪魔してしまい、十分な母乳分泌がえられない原因になります。
 
出生後まもなくは、その後の育児の基礎を築くための大切な時期です。育児にはたいへんな事もたくさんあるけれども、それを楽しんで乗り越えられるように赤ちゃんがお母さんに魔法をかけてくれます。その魔法の仕組みがだんだん解明されてきました。赤ちゃんがおっぱいを上手に吸ってくれたときにお母さんの脳で分泌されるオキシトシンやプロラクチンといった授乳に必要なホルモンも魔法の一部です。赤ちゃんがおっぱいを浅く吸ったりしてお母さんが痛いと思った時には魔法の種のオキシトシンやプロラクチンの分泌が十分でなく、母乳分泌も増えてきません。赤ちゃんに上手におっぱいを吸ってもらうということはとても大切なことで、お母さんの産後のブルーの予防にも役立ちます。お産を扱う周産期施設で、赤ちゃんがお母さんやお父さんに親になるための魔法を上手にかけてくれるような環境を提供するための基本がTen Stepsです。
 
少し練習しないと上手に吸ってくれない赤ちゃんもいます。お産の様子によりお母さんや赤ちゃんが疲れてしまって、すぐには哺乳できない時には乳児用ミルクのお世話になることができます。大切なことは母乳だけで育てたとか、ミルクを足したとか言うことではありません。赤ちゃんが生まれてすぐから、赤ちゃんとお母さんが一緒に、母乳育児に取り組むこと時間を共有することがとても大切です。かけがえのない時間の中での母と子の共同作業がお母さんと赤ちゃんの絆をはぐくみ、その後の健やかな子育てにつながって行きます。
 
発起人代表 平林円(小児科医)
 
Keiko Uehara
Asayo Mori
Yoshinobu Honda